小児眼科
子どもの視力発達について
生まれたばかりの赤ちゃんの視力は、明かりがぼんやりとわかる程度のものです。しかし、ママやパパの顔を見つめたり、玩具で遊んだりしているうちに、視力は徐々に発達していきます。また、視力の一つに両目で物体を見て遠近感を把握する能力(両眼視)というものがありますが、この能力は生後1歳くらいまでに発達します。
そして、10歳頃になると視力は完成し、大人と同程度に見えるようになります。
気になることがあったら早めに受診を
視力が発達する途上にある期間に、目に何らかのトラブルが生じると、視覚がうまく発達しなくなるケースがあります。
しかし、子どもは目に異常があっても、それを言葉では表現できません。目が痒い、痛いなどと言うことも無ければ、目が見えているかどうかについても語りません。片目だけが見えていない状態にあったとしても、日常生活には支障が起こらず、したがってお子様本人は何ら不都合を訴えないので、周囲の大人が気づいてあげる必要があります。
お子様の目のことで、少しでも気になることが出てきましたら、早めに眼科を受診してください。
こんな様子に気づいたら小児眼科を受診しましょう
- 瞼が開かない
- 目が揺れるようだ
- よく眩しそうに目を閉じる
- 黒目が白かったり、茶目が灰色だったりして、目の色が不自然
- テレビや玩具を極端に近づいて見る
- 目を細めて物を見る
- おかしな目つき(上目づかいや横目づかいなど)をする
- 何かにぶつかりやすかったり、転びやすかったりする
- フラッシュを焚いて写真を撮ると、片方の目だけ違う色に光って写る
- フラッシュを焚いて写真を撮ると、いつも同じ目が光って写る
- 学校健診などで精密検査が必要と言われた など
先天色覚異常
先天色覚異常とは、網膜上にある視細胞(光を感じ取る細胞)の色を識別する機能がうまく働かない状態で、原因は遺伝的なものです。先天色覚異常は、日本人男性の5%、女性の0.2%の頻度で生じており、決して稀なものではありません。
この先天色覚異常にも、いろいろなタイプがあります。あらゆる色は光の三原色(赤、緑、青)の3つの光の組み合わせでつくられますが、視細胞も、赤に敏感なタイプ、緑に敏感なタイプ、そして青に敏感なタイプの3種類があります。色覚異常は、この3種類の視細胞のどれかが足りなかったり、十分に機能しなかったりするために起こります。
そして、3種類の視細胞のうち、どれか一つが欠けているタイプを「2色覚」(色盲)と言い(色盲と聞くと、色がまったくわからないように誤解されがちですが、そうしたことはまずありません)、視細胞は3種類あっても、そのうちどれかの機能が低下しているタイプを「異常3色覚」(色弱)と言います。
色覚異常は程度の差が大きい
また、色覚異常には程度の差があり、同じタイプでも軽度から重度まで様々です。重度の場合は、幼少時から他人と色の感じ方が違うことを本人も自覚していることが多いのですが、軽度の場合ですと、まったく気づいていないケースも少なくありません。
かつては小学4年生全員に色覚検査が行われていましたが、平成15年度以来、必須の検査項目から外されていました。しかし、平成28年度から再び多くの小学校で、希望者を対象に色覚検査表(仮性同色表)による検査(色のモザイクの中から数字や記号を読み取る検査)が実施されるようになりました。
色だけで判断しないように習慣づける
さて、色覚異常の治療についてですが、現代医学では治すことはできません。ただ、色覚異常は、色の見え方が他人と異なるというだけですし、悪化する心配もありません。
とは言え、色による判別をしいられる場面などでは失敗も起こってくるかと思われますので、子どもさんには、日頃から色だけで判断しない習慣を身につけさせておくことが大切になります。遺伝的に、また日頃の様子から色覚異常が疑われるようなら、眼科医に相談し、きちんと検査を受けることをお勧めします。
次のような症状はご相談ください。
- カレンダーの日曜祝祭日が見分けられない
- 左右色違いの靴下を履いてしまう
- 緑の黒板の赤い文字が判読できない
- 絵を描く時に不自然な色使いをする
- 色で区別された路線図がうまく読み取れない など
仮性近視
子どもの近視では、一時的な調節麻痺や緊張状態からくる仮性近視の場合があります。これは、本当の近視ではなく、近くを見続けることで水晶体が緊張状態になって膨らんでしまい、遠くの物が見えなくなっているのです。一時的に近視になりますが、治療が可能です。