屈折異常(近視・遠視・乱視)
屈折異常とは
眼に入ってきた光は角膜と水晶体を通過し、網膜(カメラで言えばフィルム)に到達します。網膜はそれを電気信号に変え、その信号を視神経経由で脳に伝えます。その結果として、物が見えるわけです。外部から目の中に入ってきた光が、網膜上にきちんと焦点を結べない状態のことを屈折異常と言います。具体的には、近視(網膜の手前で焦点を結んでしまう)、遠視(網膜を通り越した場所で焦点を結んでしまう)、および乱視(網膜上の一点に焦点を結べない)のことです。
近視
視力の低下にはいろいろな原因がありますが、代表的な視力低下に「近視」があります。世界的に見て日本人には近視が多く、人口の6割以上が近視と言われています。
正常な目の状態では、遠くを見た時は、網膜上に焦点を結びます。しかし近視の場合は、角膜や水晶体を通った光が網膜よりも手前でピントを結んで焦点が合わないため、はっきりと物を見ることができません。
近視の場合は、眼鏡やコンタクトレンズで矯正すれば、網膜上にきちんと像が結べるようになり、日常生活に支障を来たさない視力を維持することができます。眼鏡を使うと視力が下がるのではないかと心配なさる方がおられるのですが、適切な眼鏡を使っていれば、眼鏡が原因で視力が低下することはありません。また、眼鏡の度数によって、見え方や目の疲れ具合も違ってきます。お子様の場合ですと、視力の発達具合にも影響が出て来ます。眼鏡やコンタクトで視力矯正をされる際は、当院でご相談ください。
遠視
遠視とは、網膜を通り越した場所で焦点を結んでしまう状態のことです。遠視の目では、網膜の後方でピントが合うため、遠くを見る時は少し調節すれば見えるのですが、近くを見る時は強く調節しないとはっきり見ることができません。遠くでも近くでも調節が必要になり、目に負担が掛かって、目が疲れやすくなり、頭痛や肩こりを伴うケースもあります。遠視の治療としては、眼鏡やコンタクトによる矯正を行います。
乱視
乱視とは、目のレンズの働きをする部分(角膜や水晶体)が歪んでいることによって、焦点が1ヶ所に集まらなくなり、像が二重に見えたり、ぼやけて見えたりする状態です。とは言え、正常な眼であっても、角膜や水晶体は完璧な球形ではなくラグビーボールのような楕円形をしており、上下左右に多少の歪みはよく出るものです。したがって乱視そのものは、病気とは言えません。ただ、乱視でも歪みの大きい場合は眼精疲労を招くことがあります。この乱視による眼精疲労は、乱視を適正に矯正すれば解消されます。そして大部分の乱視は、近視や遠視と同様に、補正レンズを用いれば矯正することができます。しかし、角膜の病気や傷などが原因で起こった乱視の場合は、レンズで完全に矯正するのは困難です。